コイの功


 身近な水辺の多くに錦鯉などのコイが大量に放流され,食害や底土のかきまわしにより水草や貝や小魚がすっかり消えて砂漠のようになってしまっているところが増えている.この傾向は地方ではさほどでもないが,都市に隣接する水域ではそうなっていないところを探すほうが難しいほどだ.しかも都市部では餌をやり釣りを禁止してコイを守っていたり,住宅地に隣接したところでは釣りをすることがはばかられたりするので,コイは我が物顔ではびこるばかりである.

コイを守ろう

 ここでは川の一角を金網で仕切ってコイを放流し,保護している.金網で仕切ってコイがむやみに広がらない(はびこらない)ようにしているだけ良心的ではある.
 さすがに最近では,過剰なコイの放流と保護の害に気づく人々が現れてきたらしく,コイの放流にストップをかけている水域も出てきた.私の知る限りこのような例はとても少ないが.

コイを放流しないで

 あまり見かけない「コイを放流しないで」という看板.こういう看板を掲げなければならないほど,ゲリラ的な放流があるのだろうか.
 先ほどのコイを守っている水域は,ここの上流の一部を金網で仕切ったもので,この川では,ゾーニングをすることで,コイとホタルなどのすむ環境が共存できているようだ.金網で仕切ったところ以外は,川のほとんどが「コイフリー」なので,水中には水草が青々と生えるなど,コイがいるところより自然が豊かであることが一目でわかる.ただし,増水したときなどに金網の仕切がどうなるのかはわからない.若干不安になる.

コイがいないとこうなる

 ブラックバスなどが特定外来種になり,駆除対象と明確に位置づけられて,各地で駆除活動が行われている.駆除に成功するところも現れてきた.私はバスの次はコイだと思う.ただし,コイはバスのように1匹残らず殲滅すべしというような対象ではない.ここで紹介した川のようなゾーニングも一つのやり方だが,もっと単純に,私たちのコイとの付き合い方を昔に戻せばいいだけである.放流するのはいいが,過剰な愛情やいびつな「環境保護」意識を持つことをやめ,かつてのように釣りをしたり網を入れたりして捕ればいいのである.放流を,漁獲を目的としたものに限る.漁獲した分だけ放流する.これで問題は解決すると思う.


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