この国の風景


関東平野の風景

 それにしてもこの風景は何事だろう.のどかな田園に高圧送電線の鉄塔が30本ぐらい見える.これは,東京出張の時にいつも乗る新幹線の車窓から撮った,関東平野のとある風景である.
 これほど極端ではないにせよ,一体この国には,見通しのよいところで送電線の鉄塔が視界に1本もはいってこない場所がどれほどあるだろうか.馴らされてしまっているというか,今ではそれがあることが当たり前になってしまっているが,日本の山河に鉄塔はやはり不自然である.鉄塔は,地方にある発電所から都会に電気を送るため,野を超え山を越え延々と国中に張り巡らされた高圧電線を支えている.発電所から家庭や工場など電気を使っている場所への距離が遠いほど,電線の抵抗によって電気がロスしていく.発電所が遠ければそれだけ鉄塔もたくさん必要だ.電気が無駄になればなるほど景観もそれに応じて台無しになっていく.
 ふと,日本中にある送電線の鉄塔を風力発電の風車と全部取り替えてみたらどうなるだろうと妄想する.どちらも景観をこわしてはいるが,片やクリーンなエネルギーを産み出しているし,電線は短くてすみ,電気のロスも少ないはず.風まかせという問題はあるが,膨大な数の鉄塔とそっくり入れ替えたら電力需要を賄えないだろうか.2004年末の時点で全国の風力発電風車は700基足らずで発電容量は70万kw弱.風はいつも強く吹くとは限らないのでおしなべて能力の3割程度の発電量というから,実際には20万kw余り.最近の最大使用電力は8月の昼間の約170メガwで,風車だけでまかなうなら60万基ほど必要だ.

関東平野の風景

 さて,鉄塔は全国で何本ほどだろう.
 ....そうこうしているうちに大宮が近づいてきた.そろそろ首都圏に入る.つづきは次の出張の時に考えるとしよう.


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